NT東京は、いろいろな「作ってみた」を持ち寄って楽しむイベントです。 ハンドクラフト品から電子工作に楽器やロボットまで、ジャンルを問わずあらゆる「作ってみた」がここに集まります。
公式サイトの説明をそのまま引っ張ってきてしまいましたが、まあそんな感じのイベントです。
nt-tokyo.org
以前よりこのNT東京をはじめとしてものづくり系のイベントは何度か見てきていたのですが、今回のNT東京2026で初めて出展者として参加することになりました。
会場は九段下の科学技術館、の館内にあるイベントホール。2026/10/3(土)~4(日)の開催でした。
まずはこちらの動画をご覧ください(1分)
曜日が間違ってますが......
展示したもの
今回のイベントにあわせて作っていたのは「マジで1からつくる光DAC」。
光デジタル端子(SPDIF)のデコードから音声の出力まで、専用IC・マイコン・FPGAを使わず標準ロジックICのみで自作しました。

Q. なぜこんなものを? A. まだこの世に無かったから
オーディオ向けの単品DACは多数市販されているほか、検索すると自作した作品も数多く見つかりますが、それらは基本的に既存のオーディオ用ICを組み合わせて作られています。
光デジタル端子のデコードからアナログ出力まですべて標準ロジックICでDACを自作したものは、私が探した限りまだこの世には1つもありませんでした。
なので私がつくりました。
(※I2S入力の標準ロジックICによるDACを作った例は存在します)
光デジタル端子とは? 標準ロジックICとは?
光デジタル端子は、光ファイバーを使い可視光の点滅でオーディオデータを送るという超かっこいい規格です。
テレビや一部のPC、オーディオ機器、PlayStation(2〜4の一部)などについています。
データにクロックが重畳されていたり、メタデータがついていたり、データがBiphase mark codingされていたりなど、同じくデジタルオーディオ用の規格であるI2Sと比べると多少ややこしい仕組みになっています。

標準ロジックICは、NANDゲートやフリップフロップなど、基本的なデジタル回路が収められたICです。
かつて(1970~1990年代?)は市販のデジタル機器にも使用されていましたが、近年は回路の高機能化・高密度化に伴い需要が減少しています。
しかし、標準ロジックICはその機能のシンプルさがゆえに、電子工作界隈においては今も一定のファンが存在してい(ると少なくとも私は思ってい)ます。
当日の記録
セッティング備忘録
ブース内に以下のような感じでセッティングを行いました。
- 本体は机の中央付近に配置し、タブレットスタンドを使って斜めに立てて置く。
- その後ろに説明資料をスタンド(会場についてから段ボールで作った) に貼って立てる。
- ポータブルCDプレーヤー→本体→ヘッドホンアンプ(特に説明資料は作らず)→ヘッドホンを接続。
- SC-1903を購入し、CD-Rに焼いてプレーヤーでリピート再生。
- 回路図をA3用紙3枚に印刷しそのまま机に置く。名刺もスマホスタンドに立て掛ける。
- ほんの少し空いてるスペースに300円液晶を置く。説明資料も立てて置く。

説明資料を昨日の夜中に作っていたので......、資料の印刷は当日朝会場に向かう途中のコンビニで行いました。また、段ボールによるスタンドの作成のためにハサミと養生テープも持っていきました。
今回、DAC本体と(回路図以外の)説明資料は全て立てて置くことを意識しました。Raspberry Piでアニメを24時間再生する装置について解説するネット上の記事、これがあまりにも文章が素晴らしいのでとりあえず読んでみてほしいんですけど、ここに「物を横にして置いておくよりも何かに立てかけて置いたほうが断然目立つ」と書かれていたのがすごい印象的だったんですよね。
clavis.info
今回のNT東京のブースは基本的に1サークルに対し長机1つ(横幅180cm)となっており広すぎではないかと思いましたが、結果的にはちょうどいいサイズ感でした。
全体的に資料の文字サイズが小さかったのは反省点。
配置場所について
会場内で私が配置されたのは、11号館のA-9ブース。

出入口が1箇所しかない部屋で、なおかつ入口付近に写真撮影ブース(画像右青四角)および恒例ヒゲキタさんの3D映像ドーム(同じく青丸) が配置され、入口を少し塞ぐような形になっていました。
私のブースから入口のほうを見ると、この両者が賑やかにしている中で部屋に入るのを断念している来場者の方がいらっしゃるのを何度か確認できました。これは避難経路の確保的な意味でも若干気になった点でした。
とはいえ、そもそも科学技術館イベントホールが壁の多い会場であることに加え私の申し込みタイミングが最終的な受付終了間際の2次申し込みだったということもあり、若干無理をしてスペース配置をしていただいたという感じだったのかもしれません……
見に来てくださった方々の言葉
- 執念(→まさにその通り!)
- 夢が詰まってますね(→自分のために作ってますから)
- 家に帰ったらテレビの裏側を見ます(→みてね)
- 初期のCDプレーヤーの時代の部品で作れるということですね(→確かに!)
- なんで?(→なんでだろう)
- ネットで見たので来ました(→調べてここに来てくれるの嬉しすぎ)
- 光デジタルのデコードから標準ロジックで作った人初めて見た(→そりゃそうだ)
- オーディオを仕事でやってたので懐かしい(→ヒッ!!)
- 大学で習ってる論理回路のレベル50みたいな感じだ(→対戦よろしくお願いします)
- 標準ロジックICって今でも買えるの(→なぜか秋月で取り扱いが増えてるんですよ)
- (まずVerilogでシミュレーションしてから実際の回路制作に取り掛かった、という説明に対して)時代だねぇ~(→若くてすいません)
- 2層基板なの!?(→2層です)
- 土曜に見てすごい良かったので今日(日曜)友達を連れてまた来ました(→本当にありがとうございます)
- このイベントのMVPかもしれない(→泣く)
- 制作記とか本にしないんですか(→数分程度の動画は作ります。本も書くかもね)
- 全部DIPなのが良い(→いいよね......)
などの温かい言葉をたくさんいただきました。SNS上で相互になっている方も数多く来てくださいました。
皆様本当にありがとうございました。
また、この回路ではSPDIFからクロックを復元するためにPLLを使用しておらず、SPDIFのエッジを検出してカウンタの非同期リセットに入れるという方法でクロック復元を実現しています。これについて興味を持ってくださる方がかなり多かったのですが、このアイデアに関しては私のオリジナルではなく元ネタがあります。以下にそのリンクを貼ります
www.miyazaki-gijutsu.com
会場内の様子
自分のブースが無人になってしまう時間を作ってしまうのはなるべく避けたかったのですが、そうはいっても会場内の様子をいろいろ見学したかったので、それぞれの日のうち数十分ほどはぶらぶら回っていました。




つい先日開催されたものづくり系のイベントMaker Faire Tokyoにも見に行ったのですが(ブログ書いて無くてすいません)、そちらと比較しますとNT東京は「作りたいから作った」「面白そうだから作った」という感じの作品が多いなという印象があります。まああちらもあちらで面白いんですけど、個人的にはNTのほうが居心地の良さみたいなものを感じますね。
感想ですが
イベントに合わせて物を作ったという経験は8年前のコミケ以来となります。8年前!?
普段は引きこもって物をつくってばかりでしたが、こうやって久しぶりに皆さんの前で作品を発表すると、脳の使ってない部分が活性化されるような感じになります。何ものにも代えがたい経験です。たぶん寿命も延びてます。
今回のDACはまだまだ改良の余地がたくさんあります。また来年新バージョンを発表できたらいいですね。
ショート動画だけでなくちゃんとした製作記録の動画を作らないといけないし、もしかしたら本も書くかもしれないし、一発ネタのつもりがどんどん大事になってしまってる感じがあります。がんばります。
で、まさに今、基板設計も生成AIによって自動化される時代が来ています。まあ実際にはGPT-5の頃からMCP使ってKiCad操作したりとかやってる人は既にいましたけど。
今回の基板と全く同じものは多分まだプロンプト1発でできるものではないとは思いますが、来年あたりにはもうできるでしょう。とはいえ私は部品の実装も個人が外注できる時代にわざわざ秋葉原で部品買って自分ではんだ付けしているような人です。2026年は多くの人が人力で基板をつくっていた最後の年になる可能性もありますが、私はこれからも適度に時代に逆行しつつ電子工作を楽しんでいきたいと思います(そういう人間が光デジタルと標準ロジックICを未だに愛しているのであります)。




































