ThinkPad X220が突然起動不能に。修理断念とサブ機への移行

9月17日、突然私のメインノートであるThinkPad X220i(CPUにCore i3-2350Mを積んでいたモデルのため正式には末尾にiがつきます。以下X220)の電源が落ちました。



サヨナラは突然に

X220はモバイル向けThinkPad Xシリーズの中で、Sandy Bridge世代のCPUを積んでいる世代の12型液晶を搭載したマシン。何よりも(当時)アイソレーションタイプのキーボードが非常に苦手だった私にとって、そうでないキーボードを積んだ最後のXシリーズということで、数年前に中古で購入してから持ち出し用メインノートとして、また自宅内でもサブマシンとして使用し続けてきました。そんな愛着のあるマシンのあまりに突然の出来事にかなり驚きはしましたが、すぐに原因究明を開始。
まずはCPUの温度上昇による強制終了を疑いましたが、そもそもこの世代のCPUにはサーマルスロットリングがすでに搭載されており、急激な温度上昇は考えにくいです。搭載されているCPUもTDP35Wと今の基準からするとかなり熱めですが、それでも同世代の同TDPのi5-2520Mやi7-2620Mなどと比べればi3-2350Mはそこまでの熱を常時発してたわけではないと思われます。そしてなにより、そのような症状なら一度電源を切って十分に時間が経って温度が下がればもう一度問題なく電源が入るはずです。
しかし実際にはそのようなことはなく、全く電源が入る気配がありません。
それどころか、普段ACアダプタを差したときに光るインジケータLEDも全く光らなくなってしまっていました。これは思ったよりも根が深い、ハードウェアよりの故障なのでは...と思い始めました。
その他、PC不調時の定番とも言えそうなCMOSリセットやRAMの交換も試してみましたが全く効果なし。もうこの時点で、システムボード(マザーボードlenovo的な呼び方)のどこかしらが故障しているという結論に至ります。
もうここまできたらヤケクソで、どんどん分解していきます。なお、もちろんのことメーカー修理といったことは考えていないためこういった行為をしていることに留意してください。

分解してみる~そして断念へ~

とりあえず疑うのはシステムボード上のヒューズ切れ。液晶ディスプレイやPS2の修理について調べていたときに、よくヒューズが切れているといった症状を見たことがありました。それらと同じように、基板上のどこかクリティカルな箇所のヒューズがたまたま切れてしまっただけという可能性に賭けたのです。

まず、X220を裏返し、いくつかのネジを外します。RAMやストレージもここで念の為取り外しておくことをおすすめします。

キーボードをスライドさせて取り外し、タッチパッドパームレストを回転させるように持ち上げて外します。このとき、パームレストの下側右部にCMOS電池が隠れているので、軽微な不具合のときはぜひこれを一旦外してみましょう。


キーボードのコネクタをそのまま持ち上げて外し、タッチパッドなどのコネクタは黒い爪を持ち上げてからコネクタを外します。このとき、一緒に無線LANカードやBluetoothモジュールなども外しておきましょう。無線のアンテナ線などのケーブルを丁寧に外してから、土台とシステムボードを固定しているネジを外し、プラスチックの枠を外すことで、ついにシステムボードだけを取り外すことができるようになります。


システムボードの黒い保護フィルムを外すと基板パターンが見えます。基板のシルクから分かるヒューズをすべて導通確認しましたが、一つも焼けているものはなく至って正常。システムボードまるごと交換という道は残されてはいますが、これをもってX220の修理はとりあえず諦めることにしました。

別のマシンを用意せよ

しかしここで悲しんでいるだけではだめで、持ち出し用のマシンを早急に手配する必要があります。
ここでは、こちらも中古で購入するもごくまれに使用するだけでほとんど放っておいていたThinkPad edge 11''をとりあえず使うことにします。
ThinkPad edge 11''は、X220よりも更に古く、自分の持っているモデルはi3-380UMという第1世代の超低電圧i3を搭載したもの。そのため1.33GHzの2C4Tと、かなりスペックも抑えめ。これでもedge 11''の中ではハイエンド構成だった模様。
しかし、常用にはそれ以外にも問題があります。「OSがWindows7である」「ストレージがHDDである」という点です(Windows7は大きな問題ではないですが)。
当初はX220でWindows10をインストールしMicrosoftアカウントでログインしていたmSATA SSDを、そのままedge 11''のminiPCIeスロットに差して使おうと思いました。MicrosoftアカウントでログインしたWindows10なら、ハードウェアの大幅な変更があってもライセンスを維持する手段があるからです。

edge 11''は裏側下部のいかにもなネジを3本外すだけで、このように大きな蓋を外すことができます。写真左下にminiPCIeスロットが見えますね。
しかしながら、そこにX220で使っていたmSATA SSDを取り付け、もともとedge 11''に接続されていたHDDを外した状態で起動しようとすると、BIOSから先に進まず「Operation System Not Found」の表示。しばらく接触不良かと何度かつけたり外したりを繰り返してみたり、さらにCMOSクリアなども試してみるも、一向に改善なし。BIOSが起動するだけX220よりマシと思いつつも、また壊したのか!? とかなり動揺してしまいました。しかし改めて調べてみると、ここで「edge 11''のminiPCIeスロットはmSATAに対応していない」という重大な事実が発覚。壊したわけではなかった...と安堵しながらも、当初の一番ローコストな案が崩壊してしまいました。ことごとくうまくいきません......。

環境構築への道

ここで私の思いついた案は3つ。
1つ目に、mSATA-SATA変換ボードを購入し、edge 11''のSATAポートにX220のmSATA SSDを接続できるようにする案。変換ボードの購入費とそれの到着を待つだけの時間はかかりますが、一番確実に環境を移行できる方法です。
2つ目に、たまたま手元にあったまっさらなSSDにWindows10をインストールして環境構築する案。すごいタイミングですが、なんと丁度先週メインマシンのシステムドライブ容量不足のため新しいSATA SSDを購入して到着したばかりであり、とりあえずそれを流用することで当日中の環境構築が可能になるというものです。
3つ目に、いっそのこと新しいマシンを買ってしまうというもの。(Surface Go買いたいんですよ......)
結局、当日中にとにかく動くマシンを用意しておきたかった、ということを考え、第2案を採用します。

OSの件ですが、まっさらなSSDをマシンに差してWindows10をインストールしても新しいライセンスが必要になる可能性がありそうだと判断し、どうにか今持っているライセンスを流用していく方針で行きます。
実はこのマシンの購入当時はWindows7/8.1から10への無償アップデート期間で、その期間のうちにアップグレード権だけ無料で確保しておこうと、一度Windows10にアップデートしその後すぐにWindows7に戻しておいていたのでした。そのため、当時と同じ構成なら今でも無償アップデートできるはずです。
Windows 10 のダウンロード
ここのページからダウンロードできるWindows10 Update Assistantをダウンロードし、実行します。
Windows10 Update Assistantは、Windows10のファイルのダウンロードからインストールまでを一括して行ってくれるツールです。当初のアップデート当時と同じ構成、つまりメモリ2GBに2.5''SATA HDDという今の時代からすると数週遅れな足回りなので、ひたすらに時間がかかりますが、ひたすら待ちます。
Windows10のインストールが完了したら、まずハードウェア構成を変えてもライセンスが通りやすいように、ローカルユーザーによるログインからマイクロソフトアカウントによるログインに変更します。
Windows 10でハードウェアの大幅な変更をした後のライセンス認証についての検証報告 - enjoypclife.net
あとは、いつも通り(?)にシステムドライブの移動とRAMの交換をするだけです。
システムドライブをHDDからSSDへ交換する際は、定番のEaseUS Todo Backupを使用することにします。
EaseUS® Todo Backup Free - Windows用の無料データバックアップソフト
交換したいSSDをUSB変換ケーブルでedge 11''に接続し、EaseUS Todo Backupの左下(UIちょくちょく変わりますねこのソフト)「システムクローン」を選択してターゲットのドライブ(ここではSSD)にチェックを付け、念の為ウィンドウ右下「SSDに最適化」にチェックを入れて「次へ」を押しスタート。
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(別のマシンのスクリーンショットなので容量などが違うのですが手順としては参考になると思います)
これが無事終了したらシャットダウンし、PC内部からHDDを取り外しSSDを取り付けて完了です。マウンタに固定するためのネジが数本ありますのでそのあたり忘れないように。
なお、メモリスロットはDDR3のSO-DIMMが2枚交換可能という11インチ機としてはなかなか良くできた構造。余っていた4GBのRAMを入れて計6GB構成とし、最低限メモリには困らないようにしました。

予備機の重要性を実感

ここまでの作業を行い、起動~ライセンスの確認(結局、今回のシステムドライブとRAMの同時交換程度ではライセンスについてとやかく言われることはありませんでした)をした後、最低限必要なソフトなどをインストールしてどうにか環境構築完了となります。
結局、起動確認までに祝日のまる1日を費やすことになった今回の作業ですが、こんな作業時間(そのほとんどはHDDがガリガリ言っているのを横で聞いているだけですが)になるならさっさと新しいマシン買ってみるのも良かったのでは!? と思ってしまいます。
何はともあれ、どうにか動くノートを用意できてよかった、という話でした。